真言宗(古義)

・真言宗は、弘法大師空海によって開かれた。
・古義真言宗の主な寺院は、高野山真言宗総本山金剛峯寺、東寺真言宗教王護国寺、善通寺派総本山善通寺、醍醐派醍醐寺、御室派仁和寺等。
・「大日経」「金剛頂経」が当宗の根本経典として重要なよりどころとなっているが、実際には、「般若心経」「観音経」「理趣経」などが読まれている。
・古義派の真言宗各寺院で唱えられるお経は、南山進流の声明で、古風で穏やかな声明の姿をしていると言われている。

高野山金剛峯寺
金剛峯寺本殿 ~ 金堂 ~ 大塔

【不断経】 (2016年8月11日)
・滅罪生善(現世の罪を消滅させ、死後の善い報いを生じさせること)のために、8月7日より一週間行なわれる。
・初日から6日目まで、その日の最後のお経は、途中で終わりとなり(終わり経)、次の日の始め(始め経)へと引き継がれ1週間法会は続く。 
・白襲(しろがさね)に身を包んだ若い僧侶が唱える長音理趣経の頭に続き、山内寺の住職が勤める職衆が理趣経に節を付けたお経を唱えながら、伽藍金堂の中を回り続けます。

 不断経が行われる金堂の前にはそびえる中門。
 金堂の入り口。不断経を知らせる立て看板があった。
金堂の中の板敷を廻りながら行道は行われる。

◆祈りのお経
 始め経(長音理趣経) ~ 理趣経(繰り返し) ~ 終わり経

◆祈りの聲・経のひとしずく

 前日の続きから静かに不断経は始まる。

 始め経に続き、理趣経の読経が始まる。


◆経巡礼の記
 金堂の中を理趣経を唱えながら廻り続けるお坊さん。唱えられる理趣経は、普通唱えられる理趣経とは異なった独特の節まわし。
 私が参拝したのは、不断経5日目。 法要は、「始め経」と言って、前日の続きから低く静かに始まる。金堂の奥のほうから静かにお経が聞こえてくる。行道が始まる。
しばらく行道が続いた後、途中から先頭の白襲(しろがさね)という白装束の若いお坊さんが各段の最初の節を声高らかに唱えるのに続き、職衆がお経を唱えながら廻り続ける。 最後まで唱え終わったら、再び最初から唱えられ、それが時間まで続けられる。そして、終り経となって、明日に引き継がれる。



【大曼荼羅供】 (2016年4月10日)
 ・高野山の法会の中で最も起源が古く、非常に重要な法会。この法会は金剛・胎蔵両曼荼羅を供養し、生きとし生けるもの総てに功徳を施す大変ありがたい法  会と言われている。
 ・朝9時、山内住職が伽藍内の「大会堂」から「金堂」まで行道(お練り)。 先導に導かれ、梵鐘、法螺の音と共に、職衆がゆっくりと歩いていく。
  途中、「大塔」の前でお経をあげ、「金堂」へ入堂。
  静かに法要が始まる。

 先導に導かれて大会堂を出る職衆
 「大塔」の前を進む行列。
 「金堂」へ入堂。法要が始まる。

◆祈りのお経
  (始まりのお経?) ~ 散華 ~ 回向句 ~ 対揚 
  ~ 唱禮 ~ 前讃(四智梵語) ~ 心略梵語 ~(?)
  ~ 理趣経 ~ 後讃(四智漢語) ~ 心略漢語 ~ 仏讃
  ~ (終わりのお経?)

◆祈りの聲・経のひとしずく
 梵鐘の音と共に、澄み切った声が心に沁みる。
 職衆全員の厳かな声明が堂内に響き渡る。

◆経巡礼の記
  朝8時頃に、お寺に着く。金堂に行くとすでに見学の人が集まってきている。  9時梵鐘の音を合図に法要が始まる。
  杖を持った先導役、法螺貝の僧、そして白装束も凛々しい先導の若いお坊さん  それに続く煌びやかな袈裟を纏った住職、そして法印御房。 その周りを見学  の人が囲み、付き従って歩く。
  梵鐘、法螺貝、鐃鈸の音が響き渡り、行道は行われ、金堂へと続く。
  そして、金堂の中。深く静かな読経が始まる。 本当に心に染み入るお経だ。
  このお経を聞くために、1時間半もかけてやってくるのか。
  何というお経か分らないものもあるが、そんなことは気にならない。 お堂の外陣の畳に胡坐をかき、目を閉じて耳を傾けると、悠久の宇宙を感じる・・ような気持ちがする。

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【一座土砂加持法会】(2021年9月23日)
 ・土砂加持法会は、不空羂索経に「光明真言を百八遍唱えて土砂を加持し、その土砂を屍骸、墓、塔の上に散ずれば、その亡者が地獄・餓鬼・畜生・修羅にあって苦しんでいても、大灌頂光明真言加持土砂の功力によって光明を得て、諸々の罪報を除き、苦身を捨てて西方極楽国土に往き、蓮華の上に生じ、菩提を成ずる」という由来から始められた。

◆祈りのお経
 はじめに、「総礼伽陀」が唱えられ、法会の開式を告げる。
 ~云何唄
 ~散華(道場を荘厳すべく花を散じる)
 ~対揚(法会の祈願を申し述べる)
 ~唱礼
 ~五大願
 ~前讃(四智梵語・心略梵語・?、仏の徳を讃歎)
 ~理趣経
 ~後讃(四智漢語・心略漢語・光明真言秘讃)
 ~至心廻向(仏を勧請し供養した功徳を廻向)
 ~光明真言(職衆が唱え、土砂を加持)
 ~舎利禮(釈尊の舎利と仏塔を敬い礼拝し、一切衆生を利益し皆仏果に至らしめたまえと願う)
 ~廻向伽陀(廻向文を声明にてお唱えする)
 ~称名礼(三礼して法会を終える)

◆祈りの声・経のひとしずく    我此道場如帝珠 十方三寶影現中 … 法要の始めに一同で礼拝するとき唱える。
  南無金剛界 南無大悲胎蔵界 懺悔随喜… 真心からの廻向
  『おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まにはんどま じんばら はらばりたや うん』
  光明真言を職衆が節をつけて唱え、土砂を加持する。三つの音域(初重、二重、三重)でお唱えする。

◆経巡礼の記
   秋のお彼岸の中日に行なわれた土砂加持法会。コロナの影響の為か参拝者は少なく混雑はなかった。
  理趣経の読経以外の声明で感じたことは、音程が合唱曲のようにいくつかに分かれているように感じたことだ。
 そのように唱えるようになっているのか、それぞれの人の音程が自己流のためにそうなったのか。いずれにしても、
 いつも聞きなれているような声明とは異なって荘厳な響きになって伝わってきた。
 また、光明真言が三つの音域で唱えられたところは新鮮で心に響いてきた。


教王護国寺(東寺)
 御影堂 ~ 東寺五重塔

【涅槃会】(2013年2月15日)
  ・お釈迦様がお亡くなりになった日に行われる法要で、お釈迦様の遺徳を偲ぶとともに、 その恩に感謝をささげるために行なう法要。

◆祈りのお経
  四智梵語~涅槃講祭文~散華~理趣経~般若心経~舎利禮~真言~三界随喜~退道場

◆祈りの聲・経のひとしずく
◆経巡礼の記
 今までは、講堂や金堂、五重塔がある有料の境内で、立体曼荼羅、仏像等を拝観したことはあったが、東寺での法要は初めて。 涅槃会が厳修される御影堂には多くの信者の方が来られていた。新鮮な気持ちでお参りし、お経を聞く。