浄土真宗

・浄土真宗は、親鸞によって開かれた宗派。阿弥陀仏への絶対他力と悪人正機説などを特徴とする。
・所依のお経は、「浄土三部経(無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経)」で、特に無量寿経を重視している。また、親鸞の著した「正信念佛偈」が大切にされている。

西本願寺

【親鸞聖人七百五十回大遠忌法要】(2012年1月11日)
  親鸞聖人の七百五十回大遠忌法要は2011年4月から始まり、本年の1月16日まで
  10ヶ月に亘って厳修された。
  当日は、この法要のために制定された「宗祖讃迎作法」がお勤めされました。
【宗祖讃仰作法】
 当作法は、親鸞聖人七百五十回大遠忌法要に向けて制定された。
 親鸞聖人のご和讃を中心とした構成で、「正信念仏偈」の依経段(帰命無量寿如来~難中之難無過斯)の十首、依釈段(印度西天之論家~唯可信斯高僧説)の七首、そして回向文一首の計十八首で調えられている。
 法要は、以下のとおり、執り行われた。
 一、頂礼文
 二、表白
 三、和讃(依経段)
 四、念仏(四句念佛)
 五、和讃(依釈段)
 六、念仏(八句念佛)
 七、回向文

◆祈りの聲・経のひとしずく  (南無帰命頂礼 極楽能化 弥陀如来)  (南無阿弥陀仏)

◆巡礼の記
  お参りしたのは最終日に近い1月11日でした。大変な人でしたが、前もって参拝の申し込 みをしていたため、席が割り当てられ、御影堂の椅子席に誘導され着座した。
  午前10時職衆の入場が始まる。雅楽が奏でられる中、多くの職衆の行列が続き、始まった  のは何時だっただろうか。
 初めに唱えられた「頂礼文」は、堂内に響き渡り、荘厳で、心に深くしみわたる声明
 でした。そして、職衆と参拝者が唱和する和讃・念仏には、鳥肌が立つような思いだった。


【証如上人 御祥月命日 日中法要】 (2016年9月19日)
  本願寺第10代宗主証如上人の御祥月命日に営まれる法要。
【讃弥陀偈作法】
 この法要で唱えられるお経、「讃弥陀偈作法」は、以下の差定で営まれる。
 行事鍾~導師・諸僧着座
 ~ 総礼頌  (み仏に対する恭敬のこころを表わす最高の言葉の御文)
 ~ 頂礼文  (まことの心をもって、疑いなくみ仏に帰依し、信順する。)
 ~ 十二光讃 (阿弥陀如来のみ徳を表現する十二光によって、阿弥陀仏のお徳を讃嘆する         御文)
 ~ 回向句

 ◆祈りの聲・経のひとしずく  (稽首仏足 右繞三帀 長跪合掌 以頌讃日)  (南無至心帰命礼 西方阿弥陀佛)



【秋季彼岸会】(2016年9月19日)
 【日中法要 : 無量寿経作法】
  秋季彼岸会の日中法要として、「無量寿経作法」が営まれた。
  無量寿経の差定は、以下の通り。
  行事鍾~諸僧入堂
  ~ 総礼頌 (曇鸞大師の著「讃阿弥陀仏偈」に出ている御文)
  ~ 三奉請 (善導大師の「法事讃」に出ている御文。「法事讃」は、勤式
         作法の規範を示されたもの。
         法悦にみちた敬虔な姿を持して正しく作法を行ない、尊厳が道場に満ちる         ことを誦唱。)
  ~ 発起序 (「大無量寿経」の序文の一節。)
  ~ 念仏
  ~ 経段 (四十八願文。一切の迷える衆生のために、迷いなき浄土を建立したいと
        おぼしめして四十八願を建てられた。)
  ~ 念仏
  ~ 成就文 (「大無量寿経(下巻)」のはじめに述べられている御文。
          四十八願の根本の願である第十八願が願い通りに成就したことを、釈尊          が証明された御文。
  ~ 回向句 (初めの「総礼頌」の文とこの終りの「回向句」の文とにおいて、
         「信順仏勅の勧め」を表わす。)
  ~ 磬~楽~諸僧退出

◆祈りの聲・経のひとしずく
 (諸聞阿弥陀徳號 信心歓喜慶所聞~)  (今日世尊 住竒特法~)

【逮夜法要 : 奉賛早引作法】
 彼岸会逮夜法要では、雅楽が奏され、下記次第にて、執り行われた。
 
 頂礼文 (南無帰命頂礼 西方阿弥陀仏)

 ~ 讃仏偈律曲(普段唱えられる讃仏偈とは異なり、節を付けて唱えられる。 阿弥陀如来の願心がうたわれている無量寿経のなかにある偈)

 ~ 奉賛早引作法(順読) (彼岸会初日は「龍樹章」)
   ※彼岸会では、彼岸の中日を除く毎日、奉賛早引作法として、高僧和讃の聖徳太子以外の七高僧の章を順番に唱えていく。
   奉賛早引作法の章は、太子章、龍樹章、天親章、曇鸞章、道綽章、善導章、源信章、源空章の8つの章です。

 ~ 念仏(南無阿弥陀仏 南無観世音菩薩 南無大勢至菩薩 南無清浄大海衆
      菩薩魔訶薩)
      
 ~ 回向(願以此功徳 平等施一切 同発菩提心 往生安楽國)

◆祈りの聲・経のひとしずく
 南無帰命頂礼 西方阿弥陀仏  願以此功徳 平等施一切 同発菩提心 往生安楽國

◆巡礼の記  奉賛早引作法を初めて聞いた。日頃唱えられている讃仏偈や和讃とは違った趣のお経で胸にしみ込んでくる。


豆知識

<頂礼文>
 作法の初めに勤められるのが「頂礼文(ちょうらいもん)」で、頂礼とは「接足礼(せっそくらい)」とも言われ、インドの最高レベルの礼拝です。 両手、両ひざを地面につけて、額をお釈迦様の御足にすりつけて敬う礼拝の作法です。 浄土真宗の法要では、内陣中央の礼盤に導師が登る時に柄香炉を持って腰をかがめて礼をして立ち上がるという作法(起居礼)を三回します(三拝)。 これが、浄土真宗でいう「頂礼」という作法に当たります。阿弥陀如来の大いなるお慈悲の前に頭を垂れてぬかずいていく謙虚な姿の最高の表現です。
 上記、法要で頂礼文が唱えられていますが、それぞれに異なっていることにお気づきでしょう。
まず、以下の通り、お経の文句が異なっています。
 ① 南無帰命頂礼 極楽能化 阿弥陀如来 (宗祖讃仰作法)
 ② 南無至心帰命禮 西方阿弥陀佛 (讃弥陀偈作法)
 ③ 南無帰命頂礼 西方阿弥陀佛  (奉賛早引作法)
そして、お経の節回しが異なっています。 特に、③の奉賛早引作法は、全く異なったものになっています。



東本願寺
御影堂・阿弥陀堂 ~ 御影堂正面 ~ 境内から京都タワーが

【報恩講】(2016年11月28日)
  報恩講とは、宗祖親鸞聖人の御祥月命日に勤められる法要のことで、東本願寺では11月21日から28日まで行われる。最終日の28日は、結願法要が行われ、結願日中の法要では、「坂東曲」が唱えられる。
  ※坂東曲(ばんどうぶし)とは、東本願寺の法要・報恩講で唱えられるお経で、僧侶が上体を揺らして念仏や和讃を唱える。親鸞が越後へ流罪になる際、荒波に揺れる船の中で一心に念仏を唱えた話に由来するそうだ。他の浄土真宗宗派では見られない東本願寺独特のもの。

御影堂は参拝者であふれていた。
◆祈りのお経
 伽陀 ~ 念仏讃(坂東曲) ~ 和讃

◆祈りの聲・経のひとしずく

◆巡礼の記
  報恩講の最終日の28日、法要に参列。
 当日は、結願の日で、しかも「坂東曲」があるということで、御影堂は参拝者であふれ、周 りの障子はすべて開けられ、立ち見の人でいっぱい。
 10時から始まった法要は、約2時間行われ、「坂東曲」は、三回に亘って唱えられた。 内 陣に数十名の職衆が座り、念仏と和讃を、身体を前後左右に揺らしながら坂東曲を唱える。 勇壮な男性合掌を思わせるようなお経に感動。



【先門首御命日逮夜法要】 (2019年7月12日)
 先門首「闡如」の命日の逮夜法要。逮夜法要とは、前日の夜の意味。

 ◆祈りのお経
   唱えられたお経は、
    正信念仏偈 ~ 念仏 ~ 和讃 ~ 御文章

 ◆祈りの聲・経のひとしずく
 親鸞聖人が浄土真宗の神髄を簡潔にまとめて説かれた偈(うた)。帰命無量寿如来 南無不可思議光 ・・・・
 「御文章」は、蓮如上人が門徒に書き与えられたお手紙。参詣者に聞いていただく法話のようなもの。

 ◆巡礼の記
   東本願寺の逮夜法要、日常の永代供養法要に初めて参拝しました。
   今まで、東本願寺にはあまり参拝したことがなく、数年前に行った「報恩講」での「坂東節」のエネルギッシュでエキサイティングな印象   を持っていたのですが、今日の法要は静かな落ち着いた法要でした。