法相宗

・法相宗は、西遊記で知られる玄奘三蔵を始祖とし、その弟子の慈恩大師 基が宗祖。 日本には、道昭によって法相教学が伝えられました。
・法相宗の主なお寺は、薬師寺と興福寺。
・当宗の根本聖典は、「成唯識論」であり、当宗で唱えられる主なお経は、「唯識三十頌」や「妙法蓮華経如来寿量品」や「観音経」等が読誦されています。
・法相宗のお経の特徴は、重厚で荘厳な感じがするお経です。

薬師寺
【最勝会】(2019年4月21日)
 ・最勝会とは、護国経典とされる「金光明最勝王経」について講師が講義し讃え、また僧侶が経の内容について論議を行なうと共に、国家の繁栄、皇室の安泰を願い、国民の幸せを祈る法会
 ・法会は、3時間におよぶ長いもので下記次第で営まれた。
 (式次第)
 一、参入
 二、四箇法要
 三、講問論義
 四、咒願、行香(こうくばり)之儀
 五、番論議、竪義
 六、法楽読経
 七、後奏之儀、講師の挙
 八、布施之儀

◆祈りのお経
 ・式次第二の四箇法要で、雅楽と共に、声明(唄、散華、梵音、錫杖)が唱えられ、
 式次第六の法楽読経で、「金光明最勝王経夢見金鼓懺悔品」を出典とする「懺悔の偈」及び「慈悲の偈」が一般参拝人と共に唱和された。

◆祈りの聲・経のひとしずく
 如来妙色身 世間無与等・・・
 十方所有勝妙花 普散十方諸国土・・・
 手執錫杖 當願衆生 設大施會 示如實道・・・

◆経巡礼の記
 ・式次第の配布物が作成され、また要所要所で解説の放送も入り、一般の参列者がわかりやすいように細かい配慮がなされていた。
3時間に及ぶ長い法会であったが、式次第の配布物と解説の放送で、今どのあたりのを法要が進んでいるのかがわかり、長い法要も最後まで参列することができた。



【慈恩会】 (2012年11月13日)
 ・法相宗の宗祖として崇められる慈恩大師の亡くなられた日に、大師の学徳を偲んで行われる問答を中心の法要。
 ・この法会は唄・散華・梵音・錫杖を唱える「四箇法要」という南都仏教の伝統的な 形式とともに、法相教義について問答をする講問論議が行われ、法相宗僧侶が教学を研鑽する法会となっているそうです。

◆祈りのお経
  総礼~~散華 ~梵音 ~錫杖 ~表白 ~神分 ~勧請「影向ノ戸」 ~
  会問~ 読経「般若心経・唯識三十頌」 ~番之句 ~番論義 ~総礼

◆祈りの聲・経のひとしずく

(深くゆったりと流れるようないのりのお経)

(上段)願我在道場 香華供養佛 (彌勒)彌勒上生都史天 四十九重摩尼殿・・・・

 世親菩薩造 稽首唯識性 満分清浄謝 我今釈彼説・・・




 
◆経巡礼の記
  日がとっぷりとくれた午後7時、先ほどまで降っていた冷たい雨は上がった。
 金堂の周辺には薪が灯され、漆黒の中に浮かび上がった五重塔。そして金堂。 
 鈴の音と共に、白装束の先導役に導かれ、職衆が金堂へと進んでいく。
 下駄の音を響かせながら入堂。静かで深長な読経の声が堂内に響き渡り、法要が始まる。



【薬師縁日・大般若経転読会】 (2016年9月8日)
 ・薬師寺では、毎月8日に金堂において、薬師縁日・大般若経転読会法要が執り行われている。600巻もある大般若経を短時間に読み上げるのは難しいので、職衆が分担し、転読するという方法を用いる。転読は、折本の表裏の表紙を手で支え、右、左に傾けながらぱらぱらとめくるように落とし、経台の上に積まれた経本の経題をだけを読み上げていく。

◆祈りのお経
  職衆入堂 ~ 総礼 ~ 懺悔文 ~ 開経偈 ~ 三礼・如来唄 ~ 散華(薬師)   ~ 表白 ~ 大般若経転読 ~ 般若心経 ~ 薬師瑠璃光如来本願功徳経    ~ 薬師如来大陀羅尼 ~ ご真言 ~ (?) ~回向文 ~ 空の偈・     仏法の偈・回向文(和文) ~ 総礼 ~ 職衆退堂場
  

◆祈りの聲・経のひとしずく

 薬師瑠璃光如来 大慈大悲照光明・・・妙なるハーモニーが静かに流れる。

 10数名の式衆による勇壮な大般若経の転読

 通称「薬師経」とよばれ、このお経には、薬師如来が、修行時代に「十二の大願」をたてられ、将来、自 分が悟りを得たときには、すべての人々を迷いや苦しみから救い、真の悟りに導きたいという誓いを立てられたことが述べられている。

 

◆経巡礼の記
   朝8時半頃家を出たが、途中高速道路で前が見えなくなるような物凄い豪雨となる  。生駒トンネルを抜けて奈良に入っても雨は続き、雷もなりわたり、法要は中止になるのではないかと心配になる。 しかし、法要の始まる11時前になるとあれほど激しく降っていた雨もあがり、駐車場から金堂へ急ぐ。                法要は、案内役のお坊さんのお話があり、職衆の入堂、全員の総礼(三礼)の後、厳かに始まった。  この法要の目玉は、何と言っても 大般若経転読。10名程の職衆が、経巻を両手で持ち、経題を読み上げながら、ぱらぱらと捲り転読する。その姿は、それまでの静かな読経とは一転して、勇壮そのもの。 転読が終わり、全員での般若心経の読経、そしてご真言から、信者の心得である「空の偈・仏法の偈」そして、回向文と続き、最後に、全員で総礼を行ない、法要は終わる。

興福寺
【涅槃会】 (2月15日)
 ・お釈迦様は、2月15日夜半、80年のご生涯をとじられました。その釈尊入滅の日に その死をしのぶ法会として、行われるのが涅槃会です。
 法会は、午前10時から、本坊の北客殿にて、行なわれた。
 奏楽に合わせ、入道場。 三礼の後着座、深く心に染み入る「唄」というお経で法要は始まる。

◆祈りのお経
  三礼~着座~唄~散華~舎利三段講式~舎利和讃~釈迦念仏~
  如来寿量品・唯識三十頌~舎利礼

◆祈りの聲・経のひとしずく

深く心に沁みいるようなお経。

「林歌」という奏楽とともに、散華は唱えられる。



◆経巡礼の記
 朝方から降り始めた雪が、奈良公園をうっすらと覆い、冷たい朝。公園の鹿達も寒そうに佇んでいた。
 普段はほとんど人の目に留まらない本坊の北客殿で法要は行われた。
 北客殿の庭木にも雪が積もっていた。